朝もやの少女A

 うたた寝をしていたら、深夜三時頃に目が覚めた。それからうたた寝をしていると四時過ぎにまた目が覚めて、うつらうつらする内に五時過ぎになって、どうもそれからうたた寝をしていたらしく朝の七時に目が覚めたとき、どこかの寺の鐘が鳴っていた。

つづく

考え方をめぐるスケッチ

 もしもあなたが今何も考えていないのなら、何でもいいから、何か問題を出して欲しい。そして出した問題を、自分で拾ってシャツのすそでキュッキュと磨いてパクリと齧り付いてみて欲しい。それが難しいのなら、こちらから問題を出す。なんでもいいから、「3は端数か?」という問題。これが出たとする。

つづく

降り止まぬスコール

 七日後、それは旅立った日と同じくらい金色のきれいな朝に、コックはまた彼の小さな家に帰ってきた。

つづく

それか、幸福の敗北

 書くことがないからと言って、これまで書かずにいた大事なことを思いがけず半端な気持ちで書くというのは、何だか捨て鉢なうれしさが伴う。一所懸命に黙々と、南中を経て黄昏を得て、作り続けた砂の城を最後にどかっと蹴り崩す。

つづく

七転び

子供を持ったことなんて一度もない若輩の僕が言うのもなんだし、反論は全部かわして逃げるつもりだけど、

つづく

90度の隣人

目をつぶっていたせいで、自分が影になっていたことにも気がつかなかった。

つづく

垂直の海

 ゆうべは帰宅してからずっと、閉めきった窓にくちゃくちゃとやっていたので、眠る前に少し海を思った。海はその波のおかげで、金色の産毛を風に逆立てる。月の限りで。

つづく

いしきり

 下流も海にほど近い、大きな鉄橋の下で釣り糸を垂れている人に尋ねてみた。

つづく

二日目の夜、その出来事

「今日は、いい日だった。」
「僕にとってすごく…」
「緑色の…」
「キャンディ…」
そう言った人はイスラエルに行ったきり帰ってこないが、今日はともかく、明日もいい日であってほしい。

つづく