でたらめったらの恋わずらい

すこしはなれたところから、こゆびのさきほどのてんとうむしが、ぼくのはなのあなにはいっていくのがみえた。

つづく

春のさざなみ

 彼女は今にも改札の向こうに消えていくところだった。

つづく

ムーンレス

じゃあ海の話。いちばん最初のことを言うよ。

つづく

昏睡文明 その7

 いつの間にか、気付けば星が出ている。

つづく

昏睡文明 その6

 先人の魂は土着しているか。深夜の住宅街を歩いている。

つづく

昏睡文明 その5

 想像力を抱えて暮らす。誰も傷つけない、平和で静かな暴力。

つづく

昏睡文明 その4

 物理の問題。たった一つの物体の運動は単純である。しかしそれが二つになると途端に複雑さは跳ね上がる。では三つ以上だとどうか。

つづく

昏睡文明 その3

 立体の多くは裏側を見せない。あらゆる角度から見渡すことのできる立体は、親切にもそう作られた立体だ。

つづく

昏睡文明 その2

 外に出るとだいたい真っ暗である。人間は昼と夜に慣れ過ぎているので、昼と夜の恒常性によって夜は真っ暗になる。

つづく