20067.18
エミールは頭を抱えた。こんな雨じゃ手紙を出しに行けない。夜ももう長くはない。
つづく
20067.18
頭痛薬を飲んだのが最後だった。悪魔ってのがいるもんだ。いきなりあらわれて、なにもわからないまま、魂を引っぱっていく。まあ、運が悪かったとしか言えない。
つづく
20067.16
砂浜にたどり着いたのは、私の記憶の方が、少しだけ正しかったということだ。松林に垂れかかる夕暮れ時が、道行く人をみな串刺しにしている。あんなに、灰色の蒸気にむせかえる埠頭、斜めに焼き付いた朱色の光線、跳ね返る血のプリズム。
つづく
20067.14
キルギリスが倒産したので、彼女らはどこか他のところで花を売るか、男のところに種を売るか、郷里に戻って油を売るか、しなければならなかった。
つづく
20067.10
簡単に言ってしまえば、私は超能力者としてその人の頭の中に入ることになったのだ。
つづく
20067.8
ご存じかどうか知りませんが、その蚊もまた変身するのでした。
つづく
20067.5
「あれからもう、七年にもなります。『カタストロフ・チャイルド』として七年前の地軸異常とともに生まれ、『生物学史上最大の謎』とも言われた突然変異細胞『フィー』を、覚えていらっしゃいますでしょうか。
つづく
20066.29
もう一度雲を読む。薄雲の隠した虚空の底を見透かしてみる。露を結んだ冬のグラスに、沈んだ氷を探すように。
つづく
20066.28
「ほら、かわいいですね、リスの親子が草むらから現れました。こっちにやってきますよ。
つづく