昏睡文明 その1

 起きているのか、眠っているのか、はっきりしない。シャワーを浴びて、浴槽の縁に座って、したたり落ちる水滴、それから渦巻く水蒸気の向こうに霞んだ壁を見つめる。

つづく

A・B・O

 どうしたらここまでヌルヌルになるのかわからないが、なってしまったものを責めても仕方がない。

つづく

ベロチュー・マインド

少しぐらい羽ばたいてるからって、それが鳥とは限らないだろう。

つづく

みちのはずれの

ずいぶん昔の話なんだけど、たぶん小学校くらいのときかな、家の近くに山があって、山っていうより小山って感じの、ちょっとでかい丘みたいなそんな山があって、友達とよく登って遊んでたんです。

つづく

墓荒らし その2

彼は誰時だった。昨晩催された薪能の焼け跡が、朝露に蒸れていた。

つづく

フィール・ソー・シンタクティック

あの満天の星々が、私のニューロン以外の何であろうか。

つづく

キングス・アンド・ア・クイーン

部屋でパソコンをいじっていると、キーボードに映ってモニタを滑って、小さな影が通り過ぎた。

つづく

相対性幸福論

オタマジャクシがカエルになることを変態というが、そのオタマジャクシはカエルへの変態を頭の中だけで済ませてしまった。

つづく

墓荒らし その1

柔肌が覗いた。赤い悪魔は赤い舌を、改悛の情は城下に伏し、般若湯は桜に注ぐ。

つづく