とんびとからす

 昨日まではマトモだったのよ。そのカメラマン。でも聞いた話だから、らしいとしか言えないんだけど。だから昨日ってのもその前の日ってことね。昨日じゃないよ。あ、わかってる? で、カメラマンだから撮影でしょ。その日も撮影が始まるまではいつも通りだったの。

つづく

水槽の内側

 駅に着く直前だったから、そんなにはっきり見たわけじゃないけど、電車の天井照明のカバーの中に、細長いひものようなものが数本入っていた。

つづく

ダイブ・イントゥ・ザ・ムーン

いつものように、ファミマから上がっていく道の交差点で車が切れるのを待っていた。信号はない。たぶん深夜十二時くらい。街灯の光は暗く湿って地面すれすれを照らしている。やけに暗い。街灯もほんとは点いていないのかもしれない。ただ車のライトを反射して、光っている素振りをしているだけ。なかなか途切れない車の列にもじもじしていると、爪先に何かが当たる感触があった。見ると、暗い足下に妙に白々と、転がっているのは一本の骨だった。

つづく