昏睡文明 その3

 立体の多くは裏側を見せない。あらゆる角度から見渡すことのできる立体は、親切にもそう作られた立体だ。

つづく

昏睡文明 その2

 外に出るとだいたい真っ暗である。人間は昼と夜に慣れ過ぎているので、昼と夜の恒常性によって夜は真っ暗になる。

つづく

昏睡文明 その1

 起きているのか、眠っているのか、はっきりしない。シャワーを浴びて、浴槽の縁に座って、したたり落ちる水滴、それから渦巻く水蒸気の向こうに霞んだ壁を見つめる。

つづく

A・B・O

 どうしたらここまでヌルヌルになるのかわからないが、なってしまったものを責めても仕方がない。

つづく

ベロチュー・マインド

少しぐらい羽ばたいてるからって、それが鳥とは限らないだろう。

つづく

みちのはずれの

ずいぶん昔の話なんだけど、たぶん小学校くらいのときかな、家の近くに山があって、山っていうより小山って感じの、ちょっとでかい丘みたいなそんな山があって、友達とよく登って遊んでたんです。

つづく

墓荒らし その2

彼は誰時だった。昨晩催された薪能の焼け跡が、朝露に蒸れていた。

つづく

フィール・ソー・シンタクティック

あの満天の星々が、私のニューロン以外の何であろうか。

つづく

キングス・アンド・ア・クイーン

部屋でパソコンをいじっていると、キーボードに映ってモニタを滑って、小さな影が通り過ぎた。

つづく