ろうそくを吹き消す

その海にもまた、波は打ち寄せるのだった。

つづく

四つ目のタナトス

 換気扇を通して、雷鳴の轟くのを聞きました。私はキッチンで、夕食の支度をしていました。

つづく

王手は続く

埋め立て地に横たわっている。

死体はべろを出しっぱなし。

つづく

筍たち

ドキドキする。ドキドキしなくていい。でも、こんなことってはじめてだ。

つづく

シューレース

 もっとそばにいってもいいかな。椅子が冷たくて風邪ひきそう。

つづく

窓に書く言葉

 おはよう。さっそく今日なくなったものを報告するよ。

つづく

サボテンのスライス・サラダ

 ときどきピタピタと頬に感じる雨。空の指先が僕に触れる。

つづく

海に降る雪

 市内全域に及ぶ大停電となった。発電所からの主要な連絡拠点が落雷でダウンした。大きな落雷だった。

つづく

下りゆくエスカレーター

 何度か目が覚めたはずだ。起きようと思えば起きられただろう。一日の睡眠時間としては十分すぎるほど眠ったはずだが、それでも起きられなかったのは、昨夜の深酒のせいかもしれない。そうして何度目かに目が覚めたとき、はじめは耳鳴りのように、しかし次第にはっきりと、遠くに聞こえる祭り囃子か、サンタクロースのそりのような、鈴の音が聞こえてきたのだ。

つづく

カメラ・アナグリフの沈黙

出かけるまで少し時間があったので、爪を切っていたんだが、途中で切れなくなった。涙がポトポト止まらなくなって、指がそれ以上動かなくなった。

つづく