20107.25
昨日まではマトモだったのよ。そのカメラマン。でも聞いた話だから、らしいとしか言えないんだけど。だから昨日ってのもその前の日ってことね。昨日じゃないよ。あ、わかってる? で、カメラマンだから撮影でしょ。その日も撮影が始まるまではいつも通りだったの。
つづく
20107.1
駅に着く直前だったから、そんなにはっきり見たわけじゃないけど、電車の天井照明のカバーの中に、細長いひものようなものが数本入っていた。
つづく
20106.30
いつものように、ファミマから上がっていく道の交差点で車が切れるのを待っていた。信号はない。たぶん深夜十二時くらい。街灯の光は暗く湿って地面すれすれを照らしている。やけに暗い。街灯もほんとは点いていないのかもしれない。ただ車のライトを反射して、光っている素振りをしているだけ。なかなか途切れない車の列にもじもじしていると、爪先に何かが当たる感触があった。見ると、暗い足下に妙に白々と、転がっているのは一本の骨だった。
つづく
20076.5
七日後、それは旅立った日と同じくらい金色のきれいな朝に、コックはまた彼の小さな家に帰ってきた。
つづく
20075.22
目をつぶっていたせいで、自分が影になっていたことにも気がつかなかった。
つづく
20075.18
ゆうべは帰宅してからずっと、閉めきった窓にくちゃくちゃとやっていたので、眠る前に少し海を思った。海はその波のおかげで、金色の産毛を風に逆立てる。月の限りで。
つづく
20075.16
下流も海にほど近い、大きな鉄橋の下で釣り糸を垂れている人に尋ねてみた。
つづく
20069.5
換気扇を通して、雷鳴の轟くのを聞きました。私はキッチンで、夕食の支度をしていました。
つづく