眠りの謎 その2

(七年前に突如起こった地軸の異常傾斜、それに伴う惑星規模の天変、地異、赤道付近で発生した生物の異常行動、東アジアで頻発した植物の異常繁殖、中でも特異だったのは、日本のある農村で食用栽培されていたキャベツから、人間の卵子と非常によく似た細胞が発見されたことだった。細胞は発生学者の手に預けられ、慎重に育てられ、人間と瓜二つの生物が発生した。それからしばらくして、中国の巨大農地からも同じような細胞を持ったキャベツが一斉に発見されたが、発見が遅れたため間もなくすべて腐ってしまった。それらの異常細胞には、まとめて「フィー」という名が与えられ、正常に生長した第一にして唯一のフィーに関しては、世界で様々な議論がなされ、取扱に関するいくつもの宣言、誓約が定められ、物議をかもした。)

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