優しい機械

遠くからでもわかる。あのイソギンチャクの足もと辺りに、心臓病のオーシャンがひろがっている。車は天国のわきに止めて、みんな水着に着替えよう! 急いで、ときどきゆっくり、ゆっくりだったら、恋をしている証拠。琥珀の砂浜に、アンダースカイが見え隠れする、正午! 浮き輪に浮き足、砂の城。まんべんなく焼けたオニオンスープの肌が、クリスタルの中に複雑屈折する。ダイヤモンド! 細切れになった時間の上を飛び跳ねて、空に散るのはターコイズグリーン。新しい人たちが、夏の切っ先をつかんで、遠くに放り投げる。君がどこにいるか、もちろん知ってる。暗く濁った、透明なアビスで海百合を摘んでいるんだ。また、いつもみたいにね。そうして僕は、軽はずみにのぞきこむ。初めて見た! 血の涙を流している。魚たちの群れの下に、大きな鯨が見える。軽く水面を波立たせ、そうして、深く深く潜っていく。

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