20063.16
電車で斜め向かいに座ったおばさん、
パン屋の袋を大事そうに抱えて、
こくりこくり。
電車揺れますのでお気をつけ下さい、
急なカーブで、
おばさんの膝の上から、
袋がすべって落ちる。
バラバラと、
床に散らばったのは白骨。
あわてて拾い集める、
直射日光でおばさんの髪が、
白髪交じりに見える。
パン屋の袋に入れて、
おばさんはさも大切そうにして、
誰かのお骨を持ち歩いているのだ。
おばさんはまた目をつぶって、
僕も目をつぶって、
どちらが先に眠ったかは知らない。
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