シー・ウォンツ・ア・コメディ

雨がやまないね。あしもとが冷えるよ。湿度ばかり上がってくる。せっかくだから、こういう雨の日に、前々から話そうと思っていた、カビの話をしようか。僕はこれでもカビにはうるさくてね。カビに関する本はたぶん世界中から集めてくるし、まあアマゾンだけどね、地下室にはカビをたくさん飼ってるし、もうかれこれ十五年くらいになるよね、百はいると思う。種類がね。毎日カビのベッドで目覚めて、おはよう、おやすみもカビのベッドだよ。それにはね、ふわふわしたやつを選ぶ。あまり粉っぽくない方がいい。エンジェルっていうカビがね、僕がそう呼んでるんだけどね、学名? 教えないよ。そんなの。とにかくそれが最高。天使の羽のように包むんだよね、ぜんぜん、頭の下に何かあるって感じがしない。というのは、枕にも使ってるからね。それでいて弾力はある。矛盾してるようだけどね、そう思うのは、君が冴えてないせいさ。エンジェルは最高。覚えとくといいよ。だいたい食事も、生やしたものを食べるよね。青カビ、白カビ、黄カビに茶カビ、最近は光るカビの味わいがわかるようになってきたよ。こうなるともう、上級者かな。自分ではプロフェッショナルだと思ってるけどね。スペシャリストっていうかね。ははは。なんか、やけにあしもとが冷えると思ったら、靴下の中にフェアレディを入れるのを忘れてた。ちょっと摘んでこよう。ちょっと待ってて。地下室に行ってくる。懐中電灯は、どこに置いたかな。すぐ戻るからね。うう、今日は冷えるなあ……

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