20107.1
駅に着く直前だったから、そんなにはっきり見たわけじゃないけど、電車の天井照明のカバーの中に、細長いひものようなものが数本入っていた。
ホームの階段を小刻みに駆け下りながら、なんであんなところに入ってしまったんだろう、あんなものが、あんなところに、一瞬だったし、それほどはっきり見えたわけじゃないけど、淡い蛍光灯の光にさえ、内蔵のように赤く透き通る体。絡み合って数匹。あれは確かにミミズだった。
ほんとに一瞬だったけど、間違えようもない。だってあんなに細長くて赤いもの、ミミズか初恋くらいのもんだ。太陽を浴びて死ぬ。
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