20066.20
台風一過。ガラスの散らばったアスファルトの道を、遠くたなびく起きしなの蒸気。草むらにちりばめた嵐の微々に、まるく刈られた瑠璃の空は、はるか岬の海鳴りを、わずかにとらえて、ふるえて落ちる。白日は流れ、大気に充填し、午睡の風にまどろんでは、ときおりハッとして火花を上げる。その音が、ところどころの水音や、こずえのさえずりに重なって、野辺の時間をぼくぼくと流している。川べりに朽ちた鉄橋に、一匹のあぶがとまる。錆びた欄干の向こうに、真昼の星のまたたくように、きらきらと輝く、広大なキャベツ畑が見える。
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