20065.31

ニュートラル・ポイント

　その技師は言った。

「機械をみるとき、その機械がそれまでどういう風に動作してきたかなんてことは要らない。こいつらは機械だからな。たった今インプットされてるプログラム通りに動くだけだ。昔の自分の動きを思い出して、今の動作に味付けするなんて器用なことはできっこない」

　言われた方の技師はすっかりショボくれてしまって、家に帰るとガバガバと酒をあおってバッタリ寝て、次の日からすっかり人が変わったように働かなくなってしまった。