墓荒らし その1

柔肌が覗いた。赤い悪魔は赤い舌を、改悛の情は城下に伏し、般若湯は桜に注ぐ。そろそろ愛想もこそも尽き果て、夢とうつつをそろそろ渡り、独り修験者の縁を結ぶ。仏道のため、日本のため、けんもほろろと鳴くあまり、あまりに稀な片耳をそぎ落とした男である。彼は枯れ葉のような声で、「千の点が集まった。三百と五十と三の言葉が降るだろう。今は仏もない」と言う。そうして末法の言葉狩りを嘆き、不可説不可説転の愛を追求し、自らに活を入れ、大陸に檄を飛ばし、旗幟鮮明の面持ちをして、前略、草々としたためる。一種の筆のすさびと言って、斯く狼藉を深更に果たし、幽明、境を異にしてまで、まことの法を追究し、弾指の門で立ちすくむ。彼は斯く言う、「飛ぶ矢は飛ばず。アナクシマンドロスの弟子よ。次は其処許の番である」と。

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