アイ・ウォント・コメディーズ

雨がやまないね。むなもとが冷えるよ。湿度ばかり上がってくる。せっかくだから、こういう雨の日に、前々から話そうと思っていた、彼女の話をしようか。僕はこれでも彼女にはうるさくてね。彼女に関する情報はたぶん友達中から集めてくるし、まあ探偵を使うけどね、地下室には彼女をたくさん貼ってるし、もうかれこれ二千枚くらいになるよね、百はあると思う。私物がね。毎日彼女のベッドで目覚めて、おはよう、おやすみも彼女のベッドだよ。それにはね、粗大ゴミで出したやつを運ぶ。あまり女の子っぽくない匂いがいい。エンジェルっていう彼女がね、僕がそう呼んでるんだけどね、本名? 教えないよ。そんなの。とにかくそのコが最高。天使の微笑みのように笑うんだよね、ぜんぜん、パンティの下に何かあるって感じがしない。というのは、手術も受けてるからね。それでいて胸はある。矛盾してるようだけどね、そう思うのは、君がノンケなせいさ。エンジェルは最高。覚えとくといいよ。だいたい食事も、ゴミに出したものを食べるよね。朝食、昼食、夕食におやつ、最近は割り箸から彼女の味わいがわかるようになってきたよ。こうなるともう、犯罪者かな。自分では未来予想図だと思ってるけどね。やがて出会う未来の恋人っていうかね。ははは。なんか、やけにむなもとが冷えると思ったら、服の下にブラジャーをつけるのを忘れてた。ちょっと取ってこよう。ちょっと待ってて。地下室に行ってくる。下着類は、どこに置いたかな。すぐ戻るからね。うう、今日は残業かなあ……

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