20062.16
白っぽい窓の外は雨降り。
いつから降ってるのか忘れたけど、
もうずっと降ってる。
霧雨の外気を切り取ってくる。
立方体に。窓枠ぎりぎりの大きさで、部屋に運び入れる。
部屋の中心に浮かばせた雨は、
正しく立方体じゃなきゃいけない。
ただでさえフルフルと震えているのに、
直方体だとバランスがとれない。
雨の向こうに、消えたテレビが透けて見える。
天気予報も当たらない。部屋の中の雨。
顔を近づけてみると、
息か空気か揺れて、波紋がたつ。
波紋がたつのは、雨じゃなくて外気の表面だ。
冷たい。手を入れるとそこだけ冷たい。
雨は上の面から降ってきて、底の面に消えていく。
暖房をつけると、フルフルといよいよ激しくなり、
みるみる立方体はちぢんでいく。
ちぢんでいくときは、きれいな形を保てないらしい。
でこぼこになって、こんぺいとうのように動く。
風邪のウイルスの形に似てくる。
先がとがってくる。触ったら風邪をひくに違いない。
冷蔵庫を開けて、
牛乳をコップについで、
振り返ったら、なくなっていた。
なんでだろうか、ついでに外の雨もやんだような気がして、
窓を開けてみると、
白っぽい空には、ずっと雨が降っている。
trackback URL: